
今回は、結果を出すヒントが詰まったスポーツ選手の名言を紹介したい。
競争の激しいスポーツの世界で活躍するのは並大抵のことではない。群雄割拠の中でしのぎを削り、夢を掴むために競い合う。その中でトップクラスの選手になるのは、まさに至難の業だ。
では、一握りの「超一流」と呼ばれる選手が大切にしていることはなんなのだろうか。他者とはどんな違いがあるのだろうか。それを知れば、きっと結果を出せる人間に近づけるはずだ。スポーツに限らず、勉強やビジネスにおいても大きなヒントとなるだろう。
まずは、これまでの記事で紹介したスポーツ選手の名言を改めて掲載する。
①「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道」
ーーーイチロー
②「僕は誰よりも早く練習を始め、誰よりも遅くまで残った。来る日も来る日も。何年も何年も。一夜にして成功するのに17年と114日もかかったんだ」
ーーーリオネル・メッシ
③「お前らが休んでいるとき、俺は練習している。お前らが寝ているとき、俺は練習している。お前らが練習しているときは、当然俺も練習している」
ーーーフロイド・メイウェザー・ジュニア
④「人生が夢を作るんじゃない。夢が人生をつくるんだ」
ーーー大谷翔平
⑤「10本連続でシュートを外しても僕はためらわない。次の1本が成功すれば、それは100本連続で成功する最初の1本目かもしれないだろう」
ーーーマイケル・ジョーダン
⑥「PKを外すことが できるのはPKを蹴る勇気を持った者だけだ」
ーーーロベルト・バッジョ
これらの言葉は、それぞれ次のことを教えてくれている。
①②③ は、努力の大切さ
④ は、夢・目標の大切さ
⑤⑥ は、挑戦することの大切さ
どれも辛いときに背中を押してくれる深い名言だ。
※詳細はぜひ過去の名言に関する記事で確認してほしい。
さて、スポーツ選手が残した言葉には、この他にも「珠玉の名言」がたくさんある。ここからはそれらを紹介していきたい。
⑦速く走ろうなんて考えるな。自分の走りをすることだけを考えたほうがいい。
ーーーウサイン・ボルト
この言葉は、世界的な陸上短距離選手、ウサイン・ボルト選手が2013年の対談で当時10代だった桐生祥秀選手に送った言葉だ。
ボルト選手と言えば、他を寄せ付けない速さで数々の記録を残した短距離界のレジェンド。オリンピックでは、2008年の北京大会から2016年のリオデジャネイロ大会まで3大会連続で100m、200m、4×100mの三冠に輝き、9つの金メダルを獲得している。(リレーの金メダル1つはチームメイトの違反によりその後剥奪された)
2009年の世界選手権では100mで9秒58の世界記録を記録。さらに200mでも19秒19を記録し、自身の持つ世界記録を更新した。
「速く走ろうなんて考えるな。自分の走りをすることだけを考えたほうがいい」
人類史上最速と呼ばれる彼が残したこの言葉には、どんな意味が込められているのだろうか。一つには「早く走ろうと焦ることでフォームが崩れて逆に失速する」といったような技術的な面があるだろう。だが、彼がそれ以上に伝えたかったことは「自分を信じること」の大切さだと思う。
当時、桐生選手は日本人初の9秒台を期待され、大きなプレッシャーと戦っていた。この対談で、ボルト選手はマスコミに向けて「彼にプレッシャーをかけないでくれ」と訴えた。そして、桐生選手に対しては「まずは自分のために走れ。そして楽しめ。それが国のためになればいい」というメッセージを贈った。
世界中の期待を背負って戦ってきたボルト選手だからこそ、桐生選手にのしかかる重圧が痛いほど理解できたのだろう。だからこそ、結果を出すためには「自分を信じて、自分の走りをすること」が大切だと本気で伝えてくれたのだ。
桐生選手はその後、2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックに出場。4×100mリレーで銀メダル獲得という快挙を成し遂げた。そして、2017年には国内大会の100mで9秒98を記録し、日本人初の9秒台スプリンターとなった。
⑧「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
ーーー松浦静山 ※野村克也さんの座右の銘
これは、江戸時代の大名で剣術の達人でもあった松浦静山の残した言葉である。プロ野球選手、そして監督としても活躍した野村克也さんが座右の銘としていたことでも有名だ。
この言葉が伝えたいことは大きく2つあると思う。まず負けた原因は自分にあると考える「自責思考」、そして勝っても負けても自らの改善点を突き詰めて考える「分析力」の重要性だ。
野村克也さんはこの2つの要素を兼ね備えた偉大な野球人だった。選手としては、1954年から1980年の27年間にわたり捕手としてプレーした。引退時の年齢は45歳。出場試合数は3017試合で、2015年に更新されるまで歴代1位の記録だった。戦後初の三冠王をはじめ、通算本塁打数657本(歴代2位)、安打数2901本(歴代2位)、打点1988打点(歴代2位)などの驚異的な記録を保持している。心身ともに過酷な「捕手」というポジションでここまでの成績を残したことは、野球史に残る偉業だ。
野村さんの凄いところは、現役時代の8年間、選手兼監督を任されていたという点だ。選手として試合に出場しながら監督もこなすのは並大抵のことではない。そのような大役を任されたのは、彼の指導力と分析力が評価されてのことだったのだろう。
選手を引退した後は監督として多くの功績を残した。1990年から1998年まで在籍したヤクルトスワローズでは、チームをシーズン優勝4回、日本一3回に導いている。データ分析を重要視したスタイルを確立し「ID野球」と呼ばれた。
現役時代から「自責思考」を貫き、自らが変えるべき点を考え抜くことで「分析力」を鍛え上げた野村克也さん。その経験がID野球につながり、監督としての成功につながったと言える。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
スポーツに限らず、人生の教訓として背筋を正させてくれる名言だ。
⑨「トレーニングは体を鍛えてるんじゃなくて、頭を鍛えている」
ーーー中田英寿
サッカー選手として世界で活躍した中田英寿さん。日本サッカーが今ほど海外で評価されていなかった時代に、当時世界最高峰のイタリアリーグ(セリエA)で活躍した先駆者だ。
21歳でJリーグからセリエAのペルージャへ移籍し、チームの柱として躍動。その活躍が評価され多くのチームが中田選手に興味を示した。そして、名門クラブであるASローマへの移籍が決定。絶対的な存在であるフランチェスコ・トッティの存在などもあり、十分な出場機会が与えられない日々が続いた。そんな中でも随所に輝きを放った中田選手。特に2000-2001シーズンの第29節、優勝を争うユヴェントスとの直接対決で見せたプレーは素晴らしかった。0対2のビハインドの場面で途中出場し、鋭いミドルシュートで1点を決め、さらに同点ゴールにも絡む活躍で引き分けに寄与した。勢いに乗ったローマは残りの試合でも良い結果を残し、見事に優勝を果たした。中田選手は日本人で初めてセリエAの優勝メンバーとなったのである。
また、彼は日本代表でも絶対的な司令塔として活躍した。ワールドカップ初出場を決めた試合では、日本が奪った3得点すべてに関与している。まさにチームに欠かせない存在であり、フランス大会、日韓大会、ドイツ大会と3大会連続でワールドカップに出場し、チームを牽引した。彼の存在がなければ、日本のサッカーの発展はあと何年も遅れていたことだろう。
中田選手の活躍を支えたものの一つは「ストイックさ」だろう。
例えば、高校生の時からイタリアでのプレーを見越してイタリア語を勉強していた。それにより、イタリアに移籍して数カ月後には通訳なしで会話ができるようになった。また、イタリアにいる時期には将来を見越して英語の習得に励んでいたという。また、日頃のトレーニングにおいてもストイックさを発揮していた。試合に出場できなかった日はランニングマシンで試合時間と同じ90分間走ることを己に課していたという。そのストイックさはチームメイトや指導者からも評価されており、イタリア時代の監督からは「『ナカタはすぐに腹筋する変な癖がある』と他の選手が言っていたよ」とコメントしている。トレーニングの成果はプレーにも確実に表れていた。特に、屈強な外国人選手にも倒されない強いフィジカルは大きな武器になった。
では、中田選手はなぜこれほどストイックにトレーニングに打ち込むことができたのか。彼はそのヒントとなる次のような言葉を残している。
「トレーニングは体を鍛えてるんじゃなくて、頭を鍛えている」
この言葉について、彼はこう説明している。
「『もうやめよう』とか『きつい』というのは頭が思っているだけで、体が言っているわけではない」
言われてみれば、確かにそうだ。長距離を走っていて「そろそろきついから歩こう」と思うのは頭だ。決して筋力的に足が動かなくなったわけではない。勉強しているときに「もうやめよう」と思うのも頭だ。決して手が動かなくなったり、脳の機能が停止したわけではない。つまり、限界とは「自分自身でつくっているもの」であり、何かをすぐにやめようとするのは「メンタルの弱さ」が要因なのだ。
中田さんは勉強やトレーニング、そして引退後のビジネスにおいてもこのことを念頭に置いており、それにより人並み外れた結果を残し続けている。
「もうやめよう」という気持ちが頭をよぎったとき、「それは頭が言っているのか、体が言っているのか」と自分に問う。それを繰り返すことで初めて、自分で限界をつくらない「メンタルの強さ」を手に入れることができるのだ。
(番外編)
⑨緊張してきた。よっしゃあ!!
ーーー松岡修造
最後は番外編として元プロテニスプレーヤー、松岡修造さんの言葉を紹介したい。
松岡さんといえば、現在はタレントやスポーツキャスターとして活躍しており、その「熱さ」と「真剣さ」は芸能界でも唯一無二だ。現在はユニークなイメージが強い松岡さんだが、過去にはテニス選手として日本人トップクラスの成績を残している。
オリンピック3大会連続出場、ウィンブルドンで日本人男子として62年ぶりのベスト8進出、世界ランクで当時の日本人最高位を獲得…など、誰もが認める活躍ぶりだった。
松岡さんのパフォーマンスの源泉は、やはり圧倒的なポジティブさだろう。
「緊張してきた。よっしゃあ!!」
この言葉からもわかるように、松岡さんは苦しい状況を前向きに捉える天才だ。実は彼自身、とても緊張しやすい性格らしいのだが「勝ちたいからこそ緊張する。緊張は良いこと」と考え、緊張をプラスの力に変えているそうだ。このような前向きな思考が、プレッシャーのかかる大舞台での勝利や芸能界での活躍につながっているのだろう。
悪い状況の時こそ、逆に「よっしゃあ!!」と叫んでみよう。そして、松岡さんが「君ならできる!」と言ってくれている姿を想像しよう。強引に思えるかもしれないが、きっと前向きな気持ちになれるはずだ。
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今回紹介した名言を整理すると、スポーツで結果を残すためには以下のことが必要だとわかる。
・人の何倍も努力する姿勢
・明確な夢・目標
・失敗を恐れず挑戦すること
・他人に惑わされず自分を信じること
・原因は自分にあるという自責思考
・変化すべき点を考え抜く分析力
・自分で限界を作らない強いメンタル
・緊張を喜ぶポジティブさ
少し多く感じるかも知れないが、これら全てを兼ね備えていなければ、スポーツの世界で輝くことはできない。
超一流に近道はないのだ。


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