友人、子ども、夫、妻、誰に対してでも構わない。対人関係において、
「今これをやったら相手はとても助かるだろうな」
「相手は自分にこれを望んでいるな」
「今自分が取るべき行動はこれだな」
とわかっていても、その行動が取れないことはないだろうか。そして、それが原因で相手との距離が離れてしまった経験はないだろうか。
俺はある!
例えば、同僚が多忙で困っているときに、自分が手伝ってあげれば楽になるとわかっていながら手助けしなかった経験や、友人と口論になったときに、こちらに非があるとわかっていながらもムキになって酷いことを言ってしまった経験などだ。
この書籍では赤ちゃんの夜泣きが例として挙げられている。夜中、赤ん坊が突然泣き出したが、夫は「自分が寝かしつけてあげれば妻は助かるだろう」と思いながらもそれをしない。お子さんがいる男性には、このような経験がきっとあるだろう。
この書籍はそのような状況における人間の心理にとことん向き合った内容になっている。そして、より良い行動を取れるように促してくれる。
その結果、何が起きるか。
自分も周りもどちらも幸せになれるのである。
では、書籍の紹介を進めていく。
物語はマネージャーとしてある会社に転職したビジネスマンと、その会社の幹部との会話形式で展開していく。幹部はマネージャーに対し「君には問題がある」と言い放ち、それについて丁寧にレクチャーしていく。一つ一つの疑問を解決しながら話が進んでいくため、読者を置いてけぼりにしない。また、具体例が豊富でイメージしやすいのも本書の特徴だ。
以下に、この書籍で学んだことを自分なりにまとめてみた。
●「箱」って?
まずはこの書籍のタイトルにもなっている、自分の小さな「箱」とはいったい何なのか。
ズバリ!
箱=自己欺瞞(じこぎまん)
は?
そう思った人のために、自己欺瞞の意味を解説する。決して、新しい中華まんの種類ではない。
自己欺瞞とは「自分で自分の心をあざむくこと」である。つまり、自分がすべきことがわかっていながら、様々な言い訳を並べてそれをしない状態だ。多忙な同僚を手伝わない例や、自分の非を認めない例、夜泣きの例はまさにこれに当たる。
この書籍では、自己欺瞞の状態を「箱に入っている」と表現している。
●箱に入るとどうなるの?
では、箱に入るとどんなことが起きるのか。
まず、自分のことを第一に考えるようになる。そして、自分の行動を正当化しようとする。
「自分はこんなに頑張っている」
「自分は優秀だ」
といったように。
逆に、相手のことは否定的に見るようになる。
「彼は怠け者だ」
「彼女は仕事が遅い」
などだ。
同僚を手伝わない例で考えると「自分は頑張って仕事を終わらせた。だから手伝わずに帰宅する権利がある。同僚はどうせサボっていたんだ。もしくは能力が低いんだ。だから忙しいのは自業自得。よし、家に帰ってゴロゴロしよう」といった感じだろう。
箱の中に入る(自己欺瞞)
↓
自分を正当化する
↓
相手を否定する
ここまでは理解して頂けたと思う。では次に何が起きるか。
本書には「人間は相手が自分をどう思っているのか感じることができる」と記述されている。つまり、自分が箱の中にいることは相手に感じ取られてしまうということだ。
するとどうなるかというと、最悪なことに相手も箱の中に入ってしまう。
これは想像に難くない。引き続き同僚を手伝わない例で考えると、同僚はきっと「しげるのやつ、俺がこんなに頑張ってるのに手伝いもせず帰りやがった。そもそも、あいつが無能なせいでこっちにたくさん仕事が回ってきてるんだぞ」のような感情を抱くだろう。
そして、互いに自分を正当化し相手を否定することで、関係が悪化する。
箱の中に入る(自己欺瞞)
↓
自分を正当化する
↓
相手を否定する
↓
相手はそれを感じ取る
↓
相手も箱の中に入る
↓
関係が悪化する
自分の箱の中に入ることは、このような流れで人間関係を悪い方向へと導いてしまうのである。
●「とにかく優しくなれ」と言っているわけではない。
ここまで読んでこんな風に思った方も多いだろう。
「はいはい、要は人に親切にしろってことね。そんなこと、しげるごときに言われなくてもわかってるよ」
俺も最初はそう思った。でも、読み進めてみると、それが間違いであると分かった。この書籍は単純に「優しくなれ」と言っているわけではない。
ビジネスや子育てにおいては、ときに厳しく叱ったり教育したりしなければならないこともあるだろう。そんなときに無理やり優しくする必要はない。(それこそ自己欺瞞である。)
大事なのは行動ではなく、その時の自分の状態だ。つまり、その行動をとっているときに箱の中にいるか外にいるか。同じ行動をとっていても箱の中と外、どちらにいるかで相手の反応は大きく違ってくる。
例えば部下を指導する場合、箱の中にいる状態では感情に任せた物言いになり、部下からの反発を招くことになる。逆に箱の外にいる状態では真剣さや愛情が伝わり、部下のモチベーション向上につながる。
相手に対して厳しい行動を取る際は、自分が箱の外に出ているか(=相手のためを思っての行動か)見つめなおしてみよう。
●箱から出るには?
では、箱から出る(もしくは箱に入らない)ためにはどうすればよいのだろうか。
本書では、行動ではなく「もっと深いところにあるもの」が大事だと述べられている。そしてそれは「一人の人間として相手と向き合うこと」だと言う。
箱の中にいるときは相手をただの「物」や「厄介な存在」として見てしまっている。先述の通り、相手にはその気持ちが伝わるので、相手も箱の中に入ってしまう。だからこそ「他者にも自分と同じように感情や欲求があることを理解すること」そして「一個人として向き合うこと」が重要なのだ。
同僚を手伝わない例で考えると「何かトラブルがあって仕事が遅れているのかもしれない。自分が知らない部分で過剰に仕事を与えられているのかもしれない」そんな風に相手の立場になって考えれば「手伝う」という行動が自然に取れるようになるはずだ。
以上がこの書籍を読んで学んだことである。箱の外に出て行動することは、その瞬間だけを見ると大変なことかもしれない。箱の中にいる方が間違いなく楽だろう。だが、長期的に見れば、箱の外にいる方が絶対に幸せになれる。読了後、そう確信した。
これからは「一人の人間として相手と向き合うこと」そして「感情に任せず、相手のことを思って行動すること」を習慣にしたい。


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